当科小谷が4年前にベトナム国立小児病院にて指導した小切開手術が、700例に達したので、久しぶりに訪問して再度指導を行いました。
この様子についての地元の記事を紹介します。
脇下の小切開手術によって治癒した先天性心疾患の子どもが700人に達する
ベトナム国立小児病院で、Fallot四徴症を患う生後10か月、体重わずか5.5㎏の乳児が、右脇下を指程の長さで切開する低侵襲心臓手術を受けた700人目の患者となった。
8月7日、国立小児病院小児心臓病センター所長のグエン・リー・ティン・チュオン医師と、岡山大学病院心臓血管外科准教授の小谷恭弘医師によって、6時間に及ぶ手術が行われた。小谷医師は5年前にこの技術をベトナムに伝えた人物である。
脇下からの限定的な侵襲心臓手術技術の導入から5年間、700例の手術が実施され、成功率は100%であり、重篤な合併症が起きたり死亡した子供は一人もいなかった。これまでにこの治療法を受けた患者の中で、最年少は生後たった1.5か月、最低体重はたった3.8㎏である。
チュオン医師は、心臓病センターの医師たちが、この新しい切開法や特殊な手術技術に大変興味を持っていると話す。
2018年以前は、先天性心疾患の小児に対する手術は胸骨正中切開が唯一の方法であった。胸壁に大きな傷跡が残り、術後期間も長く、患者は術後の痛みに悩まされていた。
チュオン医師によると、患者への負担を軽減するために、医師たちは術式を改良したとのことであった。以前は、6㎝程だった切開が、現在は4㎝へと縮まっている。これにより、回復時間と人工呼吸期間も短縮され、術後の痛みの軽減にも役立った。
特に10代の患者にとって右脇下の小切開は、通常の生活にすぐに戻れるだけでなく、その傷跡が完全に右脇下に隠れるため、美容面で優れ、自分自身に自信を持つことができる。
現在までに、この方法は主に、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、部分型房室中隔欠損症、右肺静脈還流異常症、肺動脈弁狭窄症または大動脈弁上狭窄症、左心房粘液腫、三心房心などの比較的単純な疾患に適用されている。そして医師はそれぞれの症例が適応するかどうかを注意深く検討しなければならない。
引用元:Vietnam net
脇下の小切開手術1例目
脇下の小切開手術700例目